「中古住宅＋性能向上リノベーション」で新築住宅をも上回る基本性能へのこだわりと、家づくりを通じてSDGs（持続可能な開発目標）を積極的に推進している想いを伺った。
SDGsは、会社の舵取り指針になるようなものです。
- 貴社の特長や強みをお聞かせください。
- 新谷さん：新築の設計施工を経て、現在は住宅の性能向上を目指した戸建てのフルリノベーションを専門にしています。メインターゲットは、20代後半から40代の子育ての世代です。その方々を絞り込んだマーケティングを行っている事業者はあまり多くないと思いますので、そこが弊社の特長の一つだと思っています。
- リフォーム業で一番大事にされていることや、普段から心がけていることについてお聞かせください。
- 新谷さん：スタッフにも話をしておりますが、「お客様に寄り添って、より良いソリューション（解決策）を、自分たちの引き出しの中から見つけ出してご提供する。」ということを心がけています。大事なのはお客様のご要望以外に、お客様も気が付かれていない生活に必要だと思われる改善部分や、お気持ちなどを十分に汲み取れるようヒアリングして、ご提案をしていく努力を続けることだと思っています。
- SDGs（持続可能な開発目標） や「性能向上リフォーム」に積極的に取り組まれるようになったきっかけや想いを教えてください。
- 新谷さん：SDGsは、会社の舵取りをする指針になるのではと思い、取り組みを始めました。SDGsの中で特に私たちが考えて実践している項目は、主にエネルギーに関することです。具体的には、住宅の性能向上を目指すことでCO2排出量を削減したり、電気・ガスといった一次エネルギーの消費を少なくしたりして、環境に寄与していると思っています。また、古い住宅を壊してゴミとして捨てるのではなく、リノベーションをすることによって、住み続けられるようにするというところもSDGsの目標に当てはまっていると思います。
さらに、弊社の場合、女性スタッフが半数以上ということもあって、SDGsの17の目標の中にある「5.ジェンダー平等を実現しよう」という項目も率先して実施したり、寄付なども行ったりすることで、多少でも世の中のお役に立てればと、日頃から取り組んでいます。
弊社は小さな会社ですが、同じような小さな会社同士の集合体が社会だと思っています。そのため、会社規模に関わらず、SDGsの17の目標の中で、何らかの方法で社会貢献をしていくことが、世の中を良い方向に向かわせて行くのではないかと考えております。
- SDGsを実施してスタッフの意識が変わりましたか？
- 新谷さん：顕著な変化はすぐには見られませんでしたが、SDGsの目標を立てる際に、スタッフに対し、17の項目の中で実際にできている事、できていないことを整理してもらい、自社にはどの項目が当てはまるかを考えてもらいました。もちろん、SDGsの壮大な目標である海洋環境の改善や貧困をなくすといった項目は微力な我々ではできないこともありますが、現状を整理することで、自分たちの役割を再認識するきっかけとなり、会社として具体的な業務である性能向上リノベーションの意識付けができたのではないかと思っています。
- 環境保護や持続可能な社会の実現が求められるようになってきましたが、まだまだ日本の住宅は新築が優勢です。お客様に考えていただきたい「新築」or「リフォーム・リノベーション」の選択について具体的な検討項目を教えてください。
- 新谷さん：行政は新築事業の拡充誘導が中心になっているように思いますが、環境面で「カーボンニュートラル」といったテーマで考えると、現状ではストック住宅への施策の方が重要だと思っています。
しかし、ストック住宅の再生となるリフォーム事業は、後から断熱性能の向上などのカーボンニュートラル対策が必要となるため、それに見合った技術力が求められます。弊社も今後対策が強化されることを予測して、日々技術力向上など準備をしつつ実際の工事に活かしております。
このような背景の中で、新築とリノベーションの費用面について、弊社がある札幌市周辺地域で言えば、郊外の土地で新築の規格住宅を取得する費用と、街中にある中古住宅をリノベーションする費用はほぼ同じくらいだと思います。生活面では街中の方が商業施設や交通機関の利用が圧倒的に便利ですし、近親者や友人知人も近くに住んでいる場合は、それだけで理想的な環境と言えると思います。
さらに、規格化された住宅より、リノベーションは予算や家族の成長に合わせた計画ができます。新築より費用を抑えることができれば、好みのデザインにしたり、独自にカスタマイズしたりして素敵な家にすることが可能ですので、費用には現れない付加価値もあると思います。「新築」もしくは「中古住宅のリノベーション」といった選択肢があるかと思いますが、メリットデメリットを把握した上で、ご判断されることが良いかと思います。
「カーボンニュートラル」が求められる時代。
リフォームでも新築を超えるような断熱施工を叶えます。
- コロナ禍を通じて、お客様の住宅へのニーズも変化したと思います。これからの住宅に大切なことは何だと思われますか。何だと思われますか？
- 新谷さん：戸建てのケースになりますが、玄関近くに手洗いができる小さな洗面所を付けるとか、オンライン対話ができるようなコーナーを増設するといった事をご提案する機会が多くなっています。しかし、実は元々、子育て中の奥様のご希望として、玄関近くに手洗い場所の増設要望がありましたので、コロナ禍になってその割合が増えたといった印象です。また、リモート会議で使う場所については、乳幼児の子育て中の家なら、子供部屋が余っていたり、階段ホールのスペースを利用したりして有効に使うことができると思います。もちろん元々狭い家やマンションではスペースに限りがありますが、それでも工夫してご要望に応えることは可能です。
- これまで携わってこられて、一番印象に残っているリフォーム事例やエピソードをお聞かせください。
- 新谷さん：昔、新築を施工させていただいたお客様で、ご高齢になったご夫婦のリフォームが印象に残っています。長年、定期的に小さなリフォームも受けさせていただいていましたが、最後のリフォームとして、ご夫婦二人だけのための家づくりをしたいとのご要望でした。当初は、北海道の地域性から、雪の心配もない便利な街中のマンションを希望されるのかと思っていました。しかし、お話を伺うと、マンションは狭いので耐震性や断熱性が改善できて、快適な暮らしが実現できるなら、現在の住まいをリフォームして暮らしたいとのことでした。弊社からのご提案は二通りありました。一つ目は二階を無くし平屋に減築する案、もう一つは家の再販を考えて二階を残す案をご提示し、結果的には後者の二階を残す案となりました。その中で耐震性や断熱性を改善するにあたり、家の全区画ではなく、ご夫婦の生活空間を中心として、面積を小さくした区画に部分断熱リフォームを施工。ご夫婦の生活はワンフロアで完結するようにプランニングし、コンパクトな空間を効率よく温めることで、快適さを実現しました。現在は、娘様ご家族が2世帯で住み継いで下さり、二階を残していただいていて良かったとおっしゃっていただきました。その二階の改修も弊社でさせていただき、世代を越えてのお付き合いをさせていただいております。
- これからリフォームされる方にとって、満足できるリフォームにするためのアドバイスをお願いします。
- 新谷さん：：これからは「カーボンニュートラル」が、どんどん叫ばれてくると思います。新築では先行していますが、リフォームでも必ずニーズが高くなりますので重点的に取り組んでいます。断熱性能ではライバルは新築だと思っていますが、実はリフォームでも新築を超えるような断熱施工ができます。具体的には、北海道ほどの寒冷地でわずか4kw程度のエアコン使用により年間5～6万円の電気代で済み、その電気代を太陽光発電で賄うという考え方があります。さらに提供元と売電をシェアする条件で、太陽光パネルを無料設置してもらえる仕組みです。売電シェアで残った電気代は、ほぼ年間の電気代である5～6万円※に充当できますので、実質、冷暖房費0円でできるという非常にお得なプランです。また、10年後にシェア契約が完了すると、発電量の全量自分たちで使えますので、さらにお得になります。この方法を利用したリフォームを是非ご検討いただくことをアドバイスさせていただいています。弊社ではこの仕組みが体験できるモデルルームがありますので、実際の数値を目で見て肌で感じる事ができます。
- ※売電計算値が変わってきたため、将来的な電気代充当分は変化することが予想されます。（2022年1月現在）
お客様となんでもお話しできるような信頼関係が大事です。
- 普段のお仕事内容を教えてください。
- 武田さん：私は入社8年目で、設計をしております。弊社では営業の専門職がおりませんので、営業や現場の施工管理も兼任しながら仕事をしております。
- 長﨑さん：私は入社5年目で、現場の施工管理を中心に、新規のお客様のご対応やアフターサービスまで担当しております。
- コロナ禍におけるお客様対応で工夫している点をお聞かせください。
- 武田さん：コロナ禍で一般的になってきた手洗い・消毒・検温をすることは当然ですが、オープンハウスでの商談会などでは、打ち合わせ時に、できるだけお客様同士の時間が重複しないように、時間配分をして一組一組にご丁寧なご対応をするように心がけております。
普段の打ち合わせでお客様が気にされている場合は、リモート中心になりますが、移動時間もなくなったおかげで、実際にお会いする機会を含め打ち合わせの回数が多くなったように思います。弊社では、できるだけ対面での打ち合わせを重視していますので、対面8割、リモート2割といった形になっています。 - 長﨑さん：武田同様にコロナ禍で常識的な防疫は行っておりますし、私も担当しているオープンハウスでの商談会では十分な衛生管理を実施しております。
そして、在宅リフォームを行う場合もありますので、お客様にご不便や不快な思いをさせないように配慮して行うようにしております。また、工事が始まってから、ちょっとした仕様変更が求められるような案件も、その都度お客様に確認をとってご理解をいただいた上で進めるようにしております。
- これからリフォームされる方にとって、リフォームする際に一番大切にしてほしいことは何か、アドバイスをお願いします。
- 武田さん：コロナ禍の影響もあって、最近は建築資材の高騰や不動産価格も上がってきています。新築の場合は、一から計画して施工していきますが、フルリノベーションは別として、水回りのみの部分リフォームなどの場合は、想定外の仕様変更も出てきて、その場その場での対応が求められます。費用にも影響する場合もありますので、細かいこと含め、十分に打ち合わせ時間を取っていただき、何でもお話しができるような信頼関係が大事になると思います。
- 長﨑さん：リフォームは、現在住んでいらっしゃる住宅の何らかの不具合や改善のご希望があることがキッカケだと思います。そういったはっきりしているご要望だけでなく、ご家族全員の思いや生活面で気が付いたこと含め、どんなことでもお話ししていただきたいと思います。住んでみないと分からない部分もありますが、お互いの十分な意思疎通があれば、リフォーム事業者は、適切だと思うご提案ができるのではないかと思います。
設備や構造部分の充実以外に、人が住まうための良い環境が幸せに暮らせる条件
- これまで携わってこられて、一番印象に残っているリフォーム事例やエピソードをお聞かせください。
- 武田さん：現在工事中の案件で完成していませんが、仕掛りの経緯を含め印象深い事例があります。お客様は東京の方だったのですが、仕事で北海道に転勤になるにあたって、マンションをリノベーションさせていただき、現在住んでいらっしゃいます。当初ご家族は東京から離れたくなかったのをご主人が説得されて、単身ではなくご家族全員でこちらに住むようになりました。でも、しばらくしてとても住みやすい北海道の生活が気に入り、逆に東京には戻りたくなくなったとのことでした。こちらで終の住まいにするべく、スキーや雪を満喫したいとのご希望もあり、ニセコで空き家をリフォームしてゲストハウス兼住宅を現在も施工中です。（2022年1月現在）
私自身、民泊に対する様々な施工仕様や消防法などの法的な手続きの経験がなかったので、調べながらご提案していった経緯もあり、とても思い入れがある事例になっています。 - 長﨑さん：昨年お引渡しをさせていただいた50代ご夫婦のお客様案件が印象に残っています。お子様はすでに独立されたので、夫婦2人用に自分たちのためのリフォームを計画されました。フルリノベーションではありませんでしたが、基本となる住宅性能を上げるための断熱や耐震強度のアップをはじめ、使い勝手の悪かった部分の間取り変更とともに、ご夫婦以外にも利用できるような部屋や共用スペースなども取り入れ、余裕を持った空間づくりと資産価値の上がった住宅が完成しましたので、とても喜んでいただきました。
- 住まいづくりのプロから見た、「良い住まい」の条件を教えてください。
- 武田さん：良い住まいの条件というより、私が良い住まいにするために心がけている要件があります。お客様からお聞きする様々なご要望以外に、生活スタイルにとって有効だと思われる間取りやスムーズな動線配置など、住宅づくりのプロから見たプラスαのご提案を心がけています。リフォームをするにあたり、良い住まいにするためには、お客様も想像できていない完成イメージを共有すること、一緒につくり上げていくという過程も大事なことだと思っています。
- 長﨑さん：家族みんなで集えて、安らぎや家族団らんができるようなリビングスペースなど、ゆとりを持った家が大事だと思います。やはり、設備や構造部分の充実以外に、人が住まうためのリラックスできる環境が幸せに暮らせる条件ではないでしょうか。
- 貴社は子育て世代のお客様が多いと伺いましたが、ご対応で気を付けている事などありますか？
- 武田さん：お子様はすぐに成長されますので、乳幼児期対応の設計だけでなく、後々使う子供部屋に可変性を持たせたプランニングを行っています。また、各部屋に収納スペースを設けるのではなく、家族全員の共有収納ができるようなスペース確保などもご提案しています。
- 長﨑さん：小さいお子様が多いので、一緒に遊ぶという事でしょうか。（笑）
在宅リフォームの場合、長時間お子様の居場所もなくなってしまうので、リフォーム中、家族みなさんのストレスを少しでも軽減できるような接し方をさせていただいています。 - 御社が実施されている性能向上リノベーションには、デザイン性も伴っている事例が多いですが、限られた予算の中で費用の取り合いなど、どのようにされていますか？
- 武田さん：デザインについては、大半のお客さまは自分のイメージされている住宅の写真を大量にご提供いただくことが多いので、それに基づいて、弊社がご提案したい性能向上のプランを肉付けしていくといった方法になります。おかげさまで実績も豊富にありますので、色々な経験値の引き出しの中からデザインや機能性を組み合わせることで、ご予算内に収まるような工夫をしております。
ご紹介
新谷 孝秀 さん
あらやたかひで ●代表取締役社長 ●資格：2級建築士、2級管工事施工管理技士、インテリアコーディネーター ●業務経歴：新築ビルダーでの設計・現場監理を経て会社設立●業務上の特技：それぞれのお客さんに合せた省エネにこだわったプランニング●ひと言：札幌周辺でこれからマイホームをお考えの方は、中古住宅＋リノベーションというコンセプト、新しい住まいのカタチについてお気軽にご相談ください。
武田 友子さん
たけだともこ ●専務取締役
●資格： 2級建築士、管理建築士、BIS（断熱施工技術者）●入社年：2014年●業務経歴：新築ハウスメーカーでの設計業務を経て入社●業務上の特技：主婦目線で、子育て世帯に寄り添ったプランニング●ひと言：同じ家族構成でも、生活スタイルは様々です。お打ち合わせの中からお客様のご家庭に合せた、より良い住まいづくりを目指しています。
長﨑 賢司さん
ながさきけんじ ●常務取締役
●資格：住宅省エネルギー施工技術者、JBRA-1施工管理士、住宅リフォーム総合技術者2級●入社年：2017年●業務経歴：家具製作の職人経験あり●業務上の特技：現場やお客様とのお打ち合わせで、良い空気感を作れるよう心がけています。●ひと言：お客様にとって過ごしやすく・安らげる空間づくりを目指しています。
代表事例集
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築43年の中古住宅を超高断熱リノベーション、子育て世代の安心・快適なZEHに大変身！全館空調の家
札幌市手稲区 間取り：3LDK
4kwのエアコン1台で全館空調・冷暖房＋無料設置の太陽光発電システム11.04Kwのコラボで、夢のZEH（ネット・ゼロ・エネルギーハウス）ができました！（認定長期優良住宅）
広々とした22帖のLDK以外に3帖の食品庫パントリーもあり、いつでもすっきりと暮らせます。南面には大開口トリプルサッシを設置し、冬場も冷気を感じさせない窓になっています。増築して家族がゆったり暮らせる間取りに一新して、日々の暮らしの中で季節の移り変わりを感じるデッキバルコニーから望む山の景色は絶景です。
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電気を自給自足する家
札幌市南区 間取り：4LDK
写真ではわかりませんが、屋根には太陽光発電パネルが26枚（8.84kw）搭載されています。
脱炭素、カーボン・ニュートラル、エコ意識の高いお客様は、ペレットストーブも設置しています。ベースとなる不動産の物件探しに苦労しましたが、希望するエリアで見つけた掘り出し物です。リノベーションで自分たち好みの家にするため、以前のオーナー様が大切にしていた庭木を活かして、リビングはツツジの花が美しく咲くピクチャウィンドーを導入。高台に位置する場所ならではの眺望の良さは、日々の生活を心豊かにしてくれます。
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おばあちゃんから受け継いだ家を自分らしくリノベして暮らす
札幌市清田区 間取り：4LDK
1階は、間仕切りを撤去して広いリビングダイニングを確保してあります。奥様の御祖母様がお暮しになっていた当時の台所レイアウトを、あえてそのままにして壁付けのキッチンにしてあります。キッチンには高機能、大容量のミーレ食洗機をビルトインしてあり、収納もたっぷりあります。また、水回りの動線にこだわり、家事が楽にできるようにプランを考えました。ウィリアム・モリス氏のデザインした壁紙が素敵な奥様のアトリエは、趣味の陶芸アクセサリーの創作の場として造りました。照明器具、スイッチ類にもこだわり、センスの良さを感じるインテリアデザインは、まさにオンリーワンの住まいです！
- この取材は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、オンラインで実施しました。
