庭のリフォームでは、従来の庭で不満に感じている部分を改善するのが基本です。その際、今の家族構成や使い方に合う形に変えるだけでなく、将来の変化も見越して計画を立てておくことが大切。具体的なプランはリフォーム事業者と相談しながら煮詰めていくことになりますが、あらかじめ家族でよく話し合って意見を固めておくことが大切です。

おしゃれなデザインもさることながら、最初の段階では、目的に合わせて空間を整理し直す作業が不可欠。このときに、人がどこをどれくらいの頻度で通るかの「動線」、庭を眺める人または敷地の外からの「視線」、どの場所にどんな役割を持たせるかの「機能」を考慮するのが基本です。

とはいえ、素人が全体を一気に考えるのは難しいもの。そこで、住まいの顔となる「アプローチ＆エントランス」、住まい手の趣味や希望を優先した「メインガーデン」、車をとめる「カースペース」、物干し場やごみの一時置場など家事にかかわる作業や収納を担当する「サービスヤード」の4つに分けて見直すと良いでしょう。

また、空間を整理し直すといっても、庭のリフォームではいったん更地にしてゼロベースから構築し直すケースはまれです。もともとある要素のうち、何を生かして何を撤去するかの判断が必要になります。「子どもの誕生を祝って植えた記念樹」など、強い思い入れがあってぜひ残したいものがあれば、プランニングの段階でリフォーム事業者に伝えておきましょう。

和風の庭を洋風の庭に変えたい、というのはよくある要望です。「和」の印象が強い石灯籠や竹垣、玉砂利などは、撤去するとコーディネートが限定されずに済むでしょう。面積が大きいもの、ボリュームがあるものを洋風のアイテムと入れ替えると、庭の印象を大きく変えることができるはず。ある一定以上に育った庭木は、撤去や移動が難しいので、目指しているリフォームの目的に照らして有用なものは残しておくのがおすすめです。

庭を第2のリビングとして、くつろげる場にするのも人気。例えば、子どもが幼い頃は芝生の遊び場にしていた主庭を、ウッドデッキや石張りのテラスに変えるようなリフォームが代表例といえます。コンサバトリー（サンルーム）を設けるのも良いでしょう。家族みんなが気軽に庭を利用できるようになり、自然と親しむ機会がぐっと増えるはずです。

もし余裕があれば、庭に照明を設置すると、さらに素敵に演出することが可能。日が沈むと見えなくなってしまう庭を、ライトで照らすことで夜も眺めて楽しめる場所に変えることができます。庭全体を均等に照らす必要はなく、シンボルツリーや門まわりなど、見せたい部分をいくつか照らすだけでOK。壁面に光を当てて間接的に空間を照らすテクニックを使えば、建材の凹凸と奥行きが際立って味わいのある空間に。アプローチに照明を仕込めば、夜に帰宅した際にほっとする感慨が日々味わえることでしょう。

庭のリフォームで特に注意したいのが、ご近所との境界。隣地境界線をまたいでいる塀などを作り直す場合は、位置を動かさず、費用は全額自分持ちとするのが基本です。事前に工事の概要を伝えて了解を取ったうえで、解体時に立ち会ってもらうとトラブルにもなりにくくて安心です。また、隣地境界に関係ない工事であっても、ある程度の規模であれば騒音や資材の運び込みなどで迷惑をかける可能性があるので、事前にご近所に承諾を得ておくと良いでしょう。

庭を維持していくのにどれだけの労力をかけられるか、という問題も重要です。幼い子どもがいる共働きの核家族の場合、庭いじりにたっぷり時間をかけることは難しいのではないでしょうか。緑豊かなガーデンが理想であっても、手入れができずに悲惨な状態になってしまうこともないとはいえません。そんなときは、手がかからない庭にするのもひとつの方法。例えば、植物を植える場所を集中してそれ以外の部分はレンガや石を張る、常緑樹を多くして落ち葉を少なくする、何度も咲いてくれる宿根草を植えるといった方法で、「手がかからないのに美しい庭」を造ることもできます。