給湯器

更新日:2025年11月20日

マンションで給湯器をエコジョーズに交換したい!ドレン排水がネックと言われたけど NEW

掲載日:2025年11月20日

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マンションにお住まいの方が給湯器を、エコジョーズ(高効率ガス給湯器)にしたいと考える方も多いのではないでしょうか?実は私自身も自宅の給湯器交換の際に「エコジョーズ」にしたいな・・・と思っていました。
エコジョーズは従来型の給湯器より熱効率が高く、長期的に光熱費を抑えられるものです。

東京ガスのホームページ(こちら)では、
   給湯器をエコジョーズに交換すると省エネでお得!
             エコジョーズはガス使用量を年間13%カット
   熱効率が80%から95%までアップ  
と、説明されています。 

多少なりとも地球環境・省エネのことを考えた私は、業者さんに「エコジョーズに交換!」と、お願いしたのですが、「ドレン(結露水)排水が取れないから、エコジョーズは無理なんですよね~~」と断られてしまいました。

この「ドレン排水」がハードルとなる件について、私も若干知っていましたので「あ~~、やっぱり、ダメなんですね」と引き下がり、結局、従来型のガス給湯器に交換しました。もうずいぶん前の話ではありますが・・・

ところが、今では、この「ドレン排水」の取り扱いには、いくつか選択肢もあり、マンションでも設置できるケースがあることに気付きました。
ここでは、その理由と、エコジョーズ導入をあきらめずに進めるためのポイントをご紹介します。
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1. ドレン排水って何? なぜ問題になるの?

エコジョーズは、燃焼ガスの水蒸気を熱交換器で冷やして熱を回収することによって省エネ効率を高めています。そのときに結露水(ドレン水)が出ます。

このドレン水は酸性(pH約3程度)ですが、中和器(炭酸カルシウムなどが入った装置)を通すと中性(pH約7)近くにして排水できます。 この排水は「雨水」とは異なります。したがって、むやみに雨水と同じように処理しちゃえばいいよね・・・というわけにはいかないのが原則です。

したがって、このドレン水をどこに流すか(排水先)が確保できるかどうかです。確保できなければ、業者は「施工不可」「交換不可」と判断することがあります。

2. 市役所によって異なっている「ドレン排水」の扱い

以上のように「ドレン排水」は、雨水とは異なり、下水道法における「汚水」として位置付けられるのですが、国土交通省からは「各自治体が公共下水道の整備状況及び地域の公共用水域への影響等を勘案しつつ、ドレン排水を“雨水と同様の取扱い”として取り扱う判断も可能である」とガイドラインが出ているのです。

つまり、自治体(地方公共団体)によってはドレン排水を雨水側に流してもよいという扱いをしているところがあり、経済産業省の補助事業「賃貸集合給湯省エネ2025事業」における「ドレン排水の取扱いについて」というサイトで、全国の地方公共団体に「ドレン排水を、どう扱っていますか?」というアンケートを実施し、その結果をExcelの表で公開しています。

このデータベースを見ると、例えば東京都23区では「一定条件を満たせば雨水系統の排水設備への排出を認めている」となっている一方、同じ都内でも国分寺市では「全面的に雨水系統の排水設備への排出を認めている」となっていました(2025年11月19日現在)

全国の一覧表を見ると、人口が集中しているエリアでは「一定条件を満たせば・・・」となっており、それ以外は「全面的に・・・」となっている傾向にあるようです。
経済産業省は「賃貸集合給湯省エネ2025事業」という制度を実施しており、賃貸マンション(集合住宅)で従来型給湯器をエコジョーズなどに交換する工事を支援していることから、こういった情報の周知も行っているようですね。

3. ドレン排水の具体的な取り方(実際の施工パターン)

公共団体によって扱いが異なっていることについては、以上のとおりですが、やはり、何らかの事情で「雨水と一緒に流してはダメ!」ということもあろうかと思います。分譲マンションであれば、管理組合として何らかのルールを規定していることがあるかもしれません。

でも、それでも、まだあきらめてはいけません。やや専門的で、高度な工事になるのかも知れませんが、「ドレン排水」を排水するドレン管を設置して排水設備に排水する方法があります。

〇 三本管方式
 三本管方式は、給湯器から浴槽までの追いだき管を利用して、給湯器のポンプで浴室の防水パンに直接ドレン水を排水する方式です。

〇 三方弁方式
 既存の配管(たとえば追い焚き配管)を活かして、三方弁(お湯とドレン水を切り替える装置)を浴室に取り付けて、浴室の排水口(またはエプロン内)にドレン水を流す方式です。

〇  ドレン排水配管方式
 共用廊下を通してドレン排水のガイド(専用配管)を敷き、雨水側溝などに流す方式です。


こういった方式は、一般財団法人ベターリビングが冊子「エコジョーズに替えませんか」において詳しく紹介しています。
 

4 エコジョーズへの交換をあきらめない!

ドレン排水の問題でエコジョーズへの交換を断られたと聞いて諦めるのは早いです。実際には、国のガイドラインや自治体ごとの取り扱いによって、雨水系統への排水が認められているエリアがあるからです。

国はガイドラインを出していますが、最終的には自治体の条例・下水道の取り扱い方針が影響します。住んでいる地域の下水道担当部署に「潜熱回収給湯器(エコジョーズ)のドレンを雨水系統に流してよいか」を問い合わせてみましょう。なお、専門的な話になるかもしれないので、その前に、施工業者さんに相談することをお勧めします。

経験豊富な業者に相談し、また、必要に応じてマンション管理組合にも確認したうえで進めることで、思ったよりもスムーズに導入できる場合が少なくありません。
長期的な光熱費の削減、環境的なメリットを考えれば、エコジョーズへの交換は非常に魅力的な選択肢です。

私も、以前、給湯器交換の際に、以上の情報を知っていたら、粘り強く事業者さん、地方公共団体に確認しながら、無事、エコジョーズへの交換を実現できていたのかも知れません…
ドレン排水の壁があっても、あきらめずに正しい知識とステップを踏んで検討を進めてみてください。
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◆執筆者
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事 
河田 崇

元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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