生き生きと健康に暮らし続けるために、住まいの備え方

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生き生きと健康に暮らし続けるために、住まいの備え方

日本人の平均寿命はどんどん伸び、これからは人生100年時代と言われています。できるだけ長く住み慣れた住まいで自立した生活を送りたい、多くの人がそう願っています。また国も高齢期は施設ではなく、できるだけ自宅で過ごせるよう、地域の仕組みを整えています。高齢期も住み慣れた地域でコミュニティに根ざし、それまでと変わりなく暮らしていく、そのためにはどのような住まいの備えが必要なのでしょうか。

健康で長生きの秘訣はフレイル予防

健康で長生きの秘訣はフレイル予防

みなさんは「健康寿命」についてご存知ですか。健康寿命とは、高齢期においても自立した生活ができる、自分の意思で生活を楽しむことができる年齢寿命のことです。自身を取り巻く環境や健康状態の差にもよりますが、現在、日本人の平均寿命と健康寿命の差はおよそ10年程度、加齢とともに徐々に体や心が衰弱していくこの期間を「フレイル(虚弱)期」と呼びます。

フレイルには大きく3つの要素があり、1つめは「身体の虚弱」、2つめは「こころの虚弱」、3つめは「社会性の虚弱」です。「身体の虚弱」とは、加齢や運動不足など生活習慣により筋力が落ち体力が低下すること、「こころの虚弱」は、うつの症状や認知機能の低下などによるもの、「社会性の虚弱」は家にとじこもりがちになる、孤食により食事をおろそかにする、といった状態になることです。健康寿命を延ばすにはフレイル予防が大きなポイントとなります。

また、これら3つの要素は連動しており、特に社会とのつながりが薄まると、徐々に生活の範囲が狭まり、家に引きこもりがちになり、心身の虚弱につながる、といった傾向があります。したがって心や体の変化を感じてからの対策ではなく、定年退職など大きく自身をとりまく環境が変わる前から、退職後の生活をどのように過ごしたいかを想像し、地域や社会とのつながりを考えてみると良いでしょう。趣味のサークルやボランティア活動など積極的に外部の活動に参加する方法もありますが、例えば、リビングやダイニングスペースを気軽に人を呼べるよう整えたり、子供が独立したことで空間に余裕ができた住まいの一部分を地域交流の場として提供できるよう、街に住まいを少しだけ開放する「家開き」や、庭の手入れをして街に緑を提供する「庭開き」など、家に居ながら社会との交流を持つ方法もあります。人を招きいれる住まいにしておくことは、将来、他者の介助や介護の必要が生じたときの準備にもなります。

目指すは健康で安全、暮らしを楽しむ住まい

目指すは健康で安全、暮らしを楽しむ住まい

では、どのようなタイミングで住まいの備えを行えばよいのでしょうか。それは、大きく環境が変化するより少し早めの時期に改修計画をすることがポイントと言えます。そして、「高齢期のための住まい」を目指すのではなく、基本は「誰にとっても心地よい住まい」であり、「これからの暮らしを楽しめる住まい」を目指すことです。その延長線上に介助や介護が必要になった場合を想定した全体の改修計画をすると、将来、必要になった時点でより効率よくバリアフリー改修を行うことができます。

フレイル予防は、住まいの温熱環境の改善や、転倒やつまずきなどの事故を防止するようなバリアフリー改修も大きな効果となります。特に、トイレや洗面・脱衣室が寒い住まいは、高齢者だけでなく誰にとっても不健康な住まいと言えますし、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住まいも、少し安全に不安が残る住まいでしょう。せっかく改修を計画するのであれば、誰にとっても健康で安全な住まいを目指したいところです。旧耐震基準の住まいであれば、まず耐震診断を行い、必要に応じて耐震補強をする、また、住まいの中で温度差が大きいと感じるのであれば、できるだけ断熱性能を上げる計画をしましょう。

そして、昨今の水回り機器や照明器具などの住宅設備は、さまざまな機能が付加されており便利な反面、使いこなすのにも慣れが必要です。例えば、ガスコンロよりもIHコンロのほうが高齢期には安全だろうと考えますが、加熱方法がガスコンロとは違ってくるので調理の慣れが必要ですし、変更後まもなく認知症を発症した場合、IHであることを忘れてしまい、炎が見えないために不用意に熱い鍋を触ってかえって事故になることもあります。したがって新しい機能や設備は、使いこなす期間を考えて早い段階での導入をおすすめします。

加齢による体の変化と住まいの対応を知る

加齢による体の変化と住まいの対応を知る

加齢とともに体は徐々に変化します。筋力の衰えにより、つま先が上がりにくくなるため2センチ程度のわずかな段差で転倒しやすくなり、トイレや浴室、玄関などでの立つ、座る、かがむといった動作が辛いと感じるようになります。目は水晶体が徐々に黄色みを帯びてゆき、白内障や緑内障などにより、まぶしさに弱くなったり、視野が狭くなったりします。温度感覚や聴力が衰えることで、室内の温湿度を体感で感じにくくなり、音が聞きづらい、高音域は聞こえにくい、などさまざまな感覚が変化していきます。また、就寝時にトイレに起きる回数が増え、寝室からトイレまでの距離が大変だと感じるかもしれません。

しかし、これら加齢により誰にでも起こる体の変化を知っておけば、将来に向けて住まいはどのような備えをすればよいのかがわかります。転倒などの事故が起こらないよう床にわずかな段差ができないようにする。まぶしさを感じないよう、電球が直接見える照明器具は避ける。高齢期は明るさも必要になるので、明るさが調節できるような照明計画をする。住まいの中でできるだけ温度差を作らないよう断熱性能を上げ、温湿度計など数字で確認できるようにする。もしくは全館空調など機械的にコントロールできるようにする。寝室とトイレの位置関係はどの程度が使いやすいのか考える。など建築計画や設備機器の選定によって対応できます。また、将来、手すりが必要になりそうな場所には、あらかじめ下地を入れておきましょう。いざ、手すりが必要になったとき、介護保険による軽微なバリアフリー工事や福祉用具でまかなえることもあります。

次のページからは、生き生きと健康に暮らし続けるための住まいの備え方について、一つ一つ解説していきます。

執筆者情報

執筆者情報

田中 哉子さん/一級建築士(住まいのナビゲーター)

設計事務所勤務を経て、2000年に一級建築士事務所 田中哉子建築設計事務所を設立、住宅の新築やリフォームを中心に設計活動。また2002年より一般財団法人住まいづくりナビセンターの住まいのナビゲーターとして住まいづくり相談に携わるほか、数多くの住まいづくりセミナーの講師として活躍、現在に至る。

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