素材にこだわって楽しむ壁のリフォーム

ビニールクロスは種類が多く価格も手頃、ということから採用する人が多くなっている反面、表面の質感が物足りないと感じる人は少なくありません。とくに、自然光や照明の光が当たったときなどは、漆喰や珪藻土（けいそうど）などの塗り壁やタイル壁がひときわ豊かな表情を見せるのに比べて物足りない感じを受けてしまいます。やはり、素材感が引き立つような壁にしたい、そこでリフォームをという人が増えています。DIY感覚で､家族でリフォームを楽しむことができるものもあります。

自分でもできる壁ペイントの楽しさ

ペイントは鮮やかな色の楽しみと、自分一人で、あるいは家族と楽しみながらできる気軽さが特徴のリフォームです。室内の壁のすべてではなく､一面だけを塗ってアクセントにする方法もあります（ただし、その時は新しい壁と､今までの壁の相性を事前によくチェックしておいてください）。

また、現在のクロスの壁の上からも塗れるので、その点も楽です。ただし､下地になるクロスに裂け目があったり剥がれていたり、また釘の頭の出っ張りが目立つときなどは、まず下地をきれいに整えることが必要です。ここを丁寧にやることが､ペイント仕上げを上手に進めるポイントです。

ペンキには水性塗料、油性塗料の２種類がありますが､塗りやすいのは水性塗料。水性といっても乾けば水には溶けません。ローラー式の刷毛なら初めてでもきれいに仕上がります。２度塗りが基本ですが、雨の日など湿度の高い時は乾燥に時間がかかり､作業時間が延びてしまいます。また時間に余裕がなくなると雑になりがちなので、晴れて乾燥した日の午前中から始めるのがベスト。上から別の色を塗ることもできるので、気分を変えたいときにはまたチャレンジすることができます。

独特の質感が魅力の左官壁

左官壁は、漆喰や珪藻土、さらにホタテ貝の貝殻､火山灰土などの天然材料に糊を混ぜた壁材料を、コテをつかって手仕事で塗り上げる壁です。表面に立体感があり、光を吸い込むような独特の表情が魅力です。体があたったりすると表面が削れることがあり、また汚れが付いた場合には「消しゴムで軽くこする」という程度の「補修」しかできませんが、深みのある表情はやはり魅力的です。ペイントと異なり、DIYで素人がきれいに仕上げることはできません。しかし職人さんならではの手仕事の味わいにはとても深いものがあります。

また、自然素材を使った壁は機能的にも優れており、湿度をコントロールする調湿機能や脱臭・消臭の働きもあります。防火性・断熱性にもすぐれています。

クロス壁からのリフォームの場合は、まずクロスをすべて剥がし､下地をきれいに整えるところから始まります。最初から最後まで職人さんの手仕事で進むので、壁のリフォームとしては比較的高価なものになります。

輸入クロスの鮮やかな色や大胆な柄を楽しむ

世界の著名なデザイナーの美しい色やデザインの輸入クロスがたくさん売られています。その中からお気に入りの物を探して壁のリフォームに使うことができます。インテリアの雰囲気が大きく変わり、自慢の部屋ができあがります。

ただし、気を付けたいのは、サンプルで見た大好きなデザインも､部屋のすべての壁に使うと､くどくなることがあるということです。家具はもちろん、室内にあらわれる梁や柱、照明器具などにも装飾的なデザインを施し、折り上げ天井やモールディングなども楽しむヨーロッパのインテリアには､確かに似合うかもしれません。それに比べれば、日本のインテリアは淡泊です。壁ばかりが目立つことになりかねません。輸入壁紙を選ぶときはその点に注意が必要です。

壁紙を購入して工事店に依頼することになりますが、輸入クロスの工事に慣れたところを選びましょう。輸入クロスは日本で一般的に使われているクロスの半分くらいの厚みで非常に薄いので、下地を整える作業を慎重に行わなければなりません。経験のある職人さんなら安心できます。