バリアフリーとユニバーサルデザインは何が違うの?住宅における両者の違いを解説

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バリアフリーとユニバーサルデザインは何が違うの?住宅における両者の違いを解説

掲載日:2023年8月4日

「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」という言葉は見聞きし、なんとなく理解しているけれど、明確な違いを問われたら返答に窮する人は多いようです。
両者は成り立ちや概念が異なります。

もし、住宅のバリアフリーを検討しているなら、両者の違いを理解してリフォームに活かしていきましょう。

今回は、バリアフリーとユニバーサルデザインにフォーカスして、違いや特徴を解説します。住宅におけるそれぞれの事例もご紹介するので、リフォームを検討している人はぜひ参考にしてみてください。

バリアフリーとは

バリアフリーとは、元々「バリア=障壁」を取り除く(フリー)を意味し、建築用語として使用されていました。現在では、高齢者や障がいがある人のために、「社会的・制度的・心理的なすべての障壁を取り除く、改善する」という意味で使われています。バリアフリーは住宅や公共施設など以下のような場所で採用されており、見たことがあるのではないでしょうか。

・エレベーターやスロープにより段差を解消する
・駅のホームにホームドアを設置する
・音声案内で視覚障がい者に情報を伝える
・ノンステップバスを導入する
・多目的トイレを設置する
・点字ブロックを設置する

ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザインとは、多くの人の使いやすさを目指した建築や製品の設計、情報などを指します。バリアフリーが障がいがある人や高齢者などの障壁を取り除くのが目的なのに対して、ユニバーサルデザインは障がいの有無や能力の度合い、年齢、性別、人種などにかかわらず、全ての人を対象と考えています。バリアフリーと比べて対象が広く、「多様な人々だれもが利用しやすい都市や生活環境をデザインする」という考えに基づいています。ユニバーサルデザインには、以下の7原則があるので確認しておきましょう。

・誰でも公平に利用できる
・柔軟性が高く自由に使える
・使い方がわかりやすく簡単である
・必要な情報を理解しやすくてわかりやすい
・ミスや危険につながらない安全性の高いデザインである
・無理なく楽な姿勢で負担が少なく使える
・使いやすい広さや大きさが確保されている

バリアフリーとユニバーサルデザインの違い

それでは、バリアフリーとユニバーサルデザインの具体的な違いを見ていきましょう。

対象が異なる

バリアフリーとユニバーサルデザインでは、まず対象が異なります。バリアフリーは、高齢者や障がいがある人がおもな対象で、対してユニバーサルデザインは障がいの有無はもちろん、年齢、性別、国籍、言語、人種、宗教など関係なく、全ての人が対象です。
例えば、出入り口に階段しかなく高齢者や障がいがある人が昇り降りしにくい場合に、スロープを設けて移動しやすくするのがバリアフリー。一方、年齢や身体状態に関係なく誰でも昇り降りしやすいように、階段をつくらずにスロープを設計するのがユニバーサルデザインです。

行動の主体が異なる

バリアフリーの普及促進は行政が指導しているのに対して、ユニバーサルデザインは民間事業がメインです。バリアフリーにおいては平成18年に施行された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」のもと、バリアフリー化が進められています。

考え方が異なる

バリアフリーとユニバーサルデザインでは、基本的な考え方が異なります。高齢者や障がいがある人を対象とし、生活において物理的な障害となるものを除去するのがバリアフリー。対して、年齢・性別・人種などを問わず全ての人々が利用しやすいデザインとするのがユニバーサルデザインです。
けれども、住宅のバリアフリーリフォームにおいて、「高齢者が対象なのでユニバーサルデザインは関係ない」わけではありません。ユニバーサルデザインは全ての人が対象なので、高齢者に配慮したバリアフリーと併せて、家族全員が快適に暮らせる家づくりを目指すと良いでしょう。

バリアフリーとユニバーサルデザインの住宅事例

バリアフリーとユニバーサルデザインを住宅に活用する事例を紹介します。高齢者や障がいがある人だけでなく、家族みんなが快適に暮らせる家づくりの参考にしてみてください。では、バリアフリーとユニバーサルデザインのそれぞれ考え方に分けて解説します。

住宅のバリアフリー事例

浴室・トイレ・階段・廊下に手すりを設置する

住宅のバリアフリーにおいて、手すりの設置は欠かせません。高齢者や障がいがある人の移動をスムーズにするほか、転倒を防いでケガをするトラブルから守れます。例えば、浴室や浴槽に手すりを設置すれば、座っている姿勢から立ち上がる動作や体を起こす動作がしやすく、トイレの手すりも立ち座りを補助し、握ることで姿勢を保持することができますので、取り付ける際は、位置やタイプを慎重に検討しましょう。また階段や廊下などには、今すぐに必要がない場合でも、手すりを将来すぐ取り付けられるように下地を用意することもあります。

段差を解消する

住宅内に段差が多いと、高齢者や障がいがある人がつまずいてケガする恐れがあります。高齢者は小さな段差でもつまずいてしまう場合があり、住宅のバリアフリー化では段差の解消が欠かせません。工事やスロープ設置など、段差を解消する方法はいろいろありますので、リフォーム会社に相談してみましょう。

玄関にスロープを設置する

玄関までの導線に高さのある階段があると、高齢者や障がいがある人の負担になります。スロープを設置して、足が上がらない人がすり足でも移動できるようにバリアフリー化するのがおすすめです。併せて手すりも設置するほか、勾配を緩やかにしたり、夜間でも足元が見やすい照明を設置したりしましょう。ただし、緩やかな勾配のスロープを設ける際は、相応の広いスペースが必要になります。

車椅子を通りやすくする

現在、家族に車椅子を使っている人がいる場合はもちろん、将来に備えて車椅子が通れるスペースを確保しておくのもバリアフリーリフォームでは重要です。日本の住宅の廊下は一般的に狭く車椅子が通りにくいので、スムーズに通れるスペースを設けましょう。ただし、その際には廊下の幅が広くなり、壁で身体を支えにくくなるため、廊下に手すりを設置すると良いでしょう。また、車いすは幅だけでなく、転回する場所では向きを変えるための広さを考慮する必要があります。テレビ台を取り除いてテレビを壁掛けにすることで、使えるスペースを広げて車椅子の走行を可能にするなどの工夫も組み合わせてリフォームすると良いでしょう。

扉を吊り戸タイプに変える

力が弱くなった高齢者にとって、開き戸の場合、開く方向によって体の向きを変えたり、扉の重さがある場合には開け閉めしたりするだけでも体に負担がかかります。例えば、扉を吊り戸に変えるだけで弱い力でも開け閉めしやすくなり、床のレールもないのでより快適なバリアフリーの家づくりを実現できるでしょう。吊り戸や引き戸は扉を開けるスペースが必要なく、部屋を広く使えるのもメリットです。

階段昇降機を設置する

バリアフリー仕様のリフォームを進めるなら、階段昇降機を設置する方法もあります。高齢者や障がいがある人にとって、階段の上り下りは暮らしの中で負担になったり、不安を感じたりすることがあります。1階がおもな生活の場であっても、日が良く当たる2階に洗濯物を干したい場合もあるでしょう。気軽に1階と2階を行き来できるようにすれば、より気持ちのよい生活が送れます。階段昇降機を設置すると、介助する側の負担を軽くできるのもメリットです。階段昇降機を設置する場合、設置を検討している階段に適しているか階段の幅や形状、乗り降りするスペースが十分に確保できるかを確認する必要があります。設置を検討する際はリフォーム会社へ相談しましょう。

住宅のユニバーサルデザイン事例

階段の勾配を緩やかにする

段数が多くなってしまいますが階段の勾配を緩やかにすれば、だれでも階段の昇り降りする際の負担を軽減できます。
階段を上り下りする際に足を置く面である「踏み面」を長くし、階段一段分の高さ「蹴上げ」を低くするといった、勾配を緩やかにするリフォームが可能です。
また、工事費および階段廻りの広さに余裕がある場合には、古い階段を撤去して緩やかな階段を新たに設置する方法もあります。併せて、手すりを階段の左右両方の壁に設置できれば安全性の確保に有効です。

ホームエレベーターを設置する

設置スペースや工事費、昇降路の確保など設置の条件が整わないと難しいですが、だれもが上下階を移動しやすくなるようにホームエレベーターを設置する方法もあります。ホームエレベーターは種類やデザインも豊富にあるのでチェックしてみてください。ただし、設置費用が高額になるほか、毎月の電気料金やメンテナンスなどのランニングコストもかかる点に留意しておきましょう。

レバー式水栓を設置する

レバーの上げ下げで水量を調節できる、レバー式水栓は家族のだれもが使いやすいユニバーサルデザインとして有効です。ンドルをひねる動作は手首に負担がかかりやすく、負担になる場合があります。手をかざすだけの非接触式水栓や足元で触れるフット水栓などもありますが、レバー式水栓よりもリフォームのコストがかかります。

足元にフットライトを設置する

階段や玄関ポーチ、廊下などの足元にフットライトを設置すると、家族全員の夜間や薄暗い場所での安全性を高められます。特に、足元に不安を感じる高齢者や足の悪い人がいるなら、設置を検討しましょう。照明器具を選ぶ際は、スイッチを手動で入り切りする必要のないセンサー付きがおすすめです。夜間にトイレに行きたい時など、人が近づくだけで自動的に灯りが点灯します。

浴室の床を滑りにくい素材に変える

床が水で濡れている浴室は、家庭内での転倒リスクが特に高い場所です。浴室の床を滑りにくい素材に変えるだけで、危険性を減らせるので検討してみましょう。床材のなかには、防滑性・水はけ性・衝撃吸収性に優れた素材が販売されています。滑りにくさに加えて弾力性のある素材なら、万一転倒した際のケガを減らせるのでチェックしてみてください。

「誰もが住みやすい住宅づくり」のために押さえておきたいポイント

住宅のリフォームでは、バリアフリーとユニバーサルデザインの考え方を効果的に取り入れると良いでしょう。家族全員が快適に暮らしやすい家づくりを考えてリフォームするのが重要です。

また、早い段階からバリアフリーやユニバーサルデザインに配慮したリフォームを検討しましょう。急に家族の誰かが怪我をして動きが制限される可能性もあります。家の中で気になる段差や、玄関や廊下に手すりを設置は、早めの検討と対処をおすすめします。

まとめ

バリアフリーとユニバーサルデザインは成り立ちや対象となる考え方に違いはあるものの、快適で暮らしやすい環境につながる点は同じです。特に住宅においては将来も見据えて家族全員が暮らしやすい家づくりとして進めていきましょう。

具体的にどのような点に注目してリフォームすれば良いのか迷う場合には、専門的な知識を持つリフォーム会社に相談するのがおすすめです。経験豊富なプロであれば、ご自宅やご家族に適したプランを提案してくれるでしょう。ぜひ一度、信頼できるリフォーム会社に相談してみてください。

◆記事監修
一般財団法人 住まいづくりナビセンター 理事・事務局長
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青木 千枝子


一級建築士。東京都出身。大学院での研究テーマは“楽しく歩けるまちづくり”。組織設計事務所にて、マンションリフォームから飛行機の格納庫まで、多様な規模や用途の設計に携わり、その後独立。平成13年4月より「住まいのナビゲーター」として住まい手のサポートをスタート、現在に至る。最近子育てが一段落し、心置きなく趣味を楽しめるようになった。

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